エンジン全般
エンジンの取り扱いにおいて大切なことを述べてみたいと思います。2サイクルエンジンと4サイクルエンジンにおいての違いも多くありますので注意してください。
1 エンジンにとってもっとも大切なこと きれいな吸気(空気) きれいで新鮮な燃料 きれいで新鮮なオイル
以上が最低限エンジンにとって大切な要素となります。
2 慣らし運転
エンジンの使い始めが寿命に大きな影響を与えます。 よく「今のエンジンは精度がよくなったので慣らし運転は必要ない」という話を聞きますが確かに昔のような金属同士をすり合わせるというイメージの長い時間の慣らしは必要なくなっています。しかし金属は熱をもつと膨張(変形)します。さらにフライパンを想像してもらうとわかると思うのですが、(油のよく染み込んだフライパンは焦げ付きにくい)最初はオイルが染み込んでません。そこで熱膨張(変形)オイルのなじみ この2点のために慣らし運転は行ったほうがよいと考えます。
方法
やはり少しずつ本来の使用状態に近づけるということになります 無負荷状態でエンジンが温まるまで回し しばらく休ませる それを繰り返す スロットルが付いているものに関しては スローである程度回し温まってきてからゆっくり回転を上げる また2サイクルの場合最初はオイルを多くしたほうがよいとの声も聞きますが 濃すぎるオイルもきれいに燃えなくなるのでよくありません。適切な混合比で大丈夫です。
例
スロットル付きの場合(チェーンソー 刈払機 など)
1 エンジン始動後スローである程度エンジンが温まるまで待つ(30秒〜1分) 2 ゆっくりと回転を上げ十分エンジンを温める 3 回転を下げエンジンが冷えてきてからとめる(30秒〜1分)
以上を2〜3度繰り返してから少しづつ負荷をかける時間を長くする
スロットルがない場合(発電機など)
1 無負荷でエンジンが温まるまで回す
(これしか方法がないので2〜3度繰り返す もしスローダウンが付いついれば スロットル付きのような方法も効果的です。)
そして少しずつ負荷をかける時間を長くする
さらに初回のオイル交換は早めにする。
以上 簡単な例ですが大切なのはとにかく使用状態に ゆっくりと持っていくということです。10分でも慣らすのと慣らさないのとでは大きな違いが出てきます。また新品状態でいきなり高負荷をかけることだけは避けてください。
慣らしが終わった機械でも 作業前と後に数十秒でも 暖気運転 冷却運転 を行うのも大変効果的です。
うまく慣らした機械は パワー耐久性 共に向上します。
3 管理 取り扱い
エアクリーナー
エアエレメント(エアフィルター)が詰まると 空燃比が(燃料と空気の比率)かわり正常な爆発をしなくなります。またフィルターがなくても空燃比がかわり さらにごみを吸い込むことによってダメージを受けます。したがって ときどきごみを払い定期的な交換をお勧めします。
燃料 全般
きれいで新鮮な状態が要求されます。そのためには専用の携行缶を使いゴミが入らないように心がけ 使い切るだけの量を購入することをお勧めします。保管は1週間 長くとも1ヶ月をめどと考えてください。保管場所にもよりますが結露などにより思いのほか早く変質します。また専用でない容器に保管されていると 樹脂製(ペットボトルなど)の場合化学変化を起こし燃料に不純物が混じりダメージを受けます。金属製であってもさびなどの発生で同様なことが起きることがあります。さらに入荷する修理機などでも燃料キャップのなかのフィルターの中に落ち葉などがよく入っていることがあります。
2サイクル混合燃料
さらに厳重な取り扱いが要求されます。混合された燃料は保管限度1週間とお考えください。出来ればガソリンとオイルを別々に保管しその日使う分だけ混合することをお勧めします。混合された燃料は劣化が非常に速いので、また混合時ゴミが入りやすいため そこにも注意が必要です。
軽油
水分を吸収しやすい特性を持っていますので保管期間も短く 時にはタンク内の水抜きが必要となってきます。
オイル
4サイクルガソリンエンジンオイル
高温にさらされながら金属の循環を行なっていますので劣化します。また酸化しやすい特性を持っていますので使わなくても半年に一度の交換をお勧めします。 ただし合成油系(高価 車では割と浸透してきています。)のオイルを使うことにより 酸化のサイクルを伸ばすことが出来ますがやはり定期的な交換は必要です。
2サイクル混合用オイル
やはり酸化しやすい性質を持っていますので 一度缶を開けたら出来るだけ早く使い切ることをお勧めします。またきっちりと空気湿気が入らないよう密閉して保管することも大切です。
ディーゼルオイル
性質は4サイクルガソリンエンジンオイルと同様ですがディーゼルエンジンは自己爆発してますのでエンジン内が非常に汚れます。その洗浄の役目もオイルが兼ねていますので 交換サイクルがガソリンに比べ2/3ぐらいと考えてください。小さなガソリンエンジンにはオイルフィルターがないのにディーゼルには付いているのはそのためです。当然オイルフィルターの定期的交換も必要となってきます。
4 保管
しばらく使わない場合 上記燃料 オイルの劣化を避けるため 燃料はタンクを空にしてスローで止まるまで回し出来るだけ燃料を抜きます。 フューエルストレーナー フロートチャンバー室 などもはずして抜くとさらによいでしょう。 保管期間が上記燃料の保管期間を超える場合はこの処置を行なうことをお勧めします。
さらに単気筒の場合 リコイルを軽く引いてピストンを上げバルブ 吸気口 排気口が閉じる位置で保管するのも オイルの劣化内部へのゴミの侵入を防ぐために有効です。
燃料を抜かないと 変質した燃料がキャブレター 燃料タンクなどを侵し 重大な故障原因となります。
「保管中時々エンジンかけたほうがいい」という話もよく聞きますが かけるのなら燃料が劣化する前にその燃料を使い切るまで回さないと意味がないし バッテリーの充電も相当長時間回さなければ出来ませんので お勧めしません。したがって使用間隔が長くあく方には セルモーターではなくリコイル付きのエンジンをお勧めします。
5 総論
エンジン本体の故障原因は メンテナンス不足 保管ミスによるものが大半を占めます。 燃料不良オイル劣化よる 焼きつき キャブレターの腐食 タンクのさび付きなどなど 負荷のかけすぎ 熱によるオーバーヒートなどの電動工具にありがちな原因は少数派となります。
エンジンに関しては 日々のメンテナンスが大変重要となってきます。
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